Hase's Note...


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「香港映画ファン(だった人間)の憂鬱」

 なんと、ほとんど2ヶ月近くもノートの更新をサボってしまった。
 忙しかったということもあるのだが、書くことがなにもないのだから、しょうがないといえばしょうがないのだが。なにしろ、編集者との打ち合わせがあるか、葉巻仲間との宴会があるかでなければ、ほとんどまったく外出しない日々が続いているのだから。
 思えば、このサイトを立ち上げたときというのは、わたしが本職をサボりまくってた時期とまったく重なるわけで、週に一度の更新目標もなんとか続けていくことができたのだった。それが、去年の後半あたりから、サボってきたことのツケを支払わなければならない羽目に陥り、仕事量が増大していった。
 今後も、ノートの更新は滞りがちになるだろうけれど、ご理解ください。
 というわけで、今さらながらなのだが『マトリックス リローデット』と『英雄』という映画を立て続けに見る機会があった。
『マトリックス』も『英雄』もストーリー部分が辛いということ、ストーリーよりもCGを駆使したアクションが売りであるということが共通した映画だと思うのだが、いかにCGに金を使おうが、結局は人間が役柄を演じている以上、俳優の肉体、運動能力以上に見る者を引きつけるものはないのだということを強く感じた。
『マトリックス』がどれだけの制作費を誇ろうが、キアヌ・リーブスが数ヶ月中国武術の特訓をしようが、『英雄』におけるジェット・リーとドニー・イェンのアクションにはまったく及ばない。もちろん、両者共にワイヤーアクションやCG合成を駆使しまくってはいるのだ。現実にはあり得ないアクションを描いて、やはり現実に根ざした武術を身につけた中国、香港の両雄の殺陣の方がはるかに美しい。武術的素養のないトニー・レオンとマギー・チャンも、演技力で欠点を補っている。まあ、チャン・ツーイーは厳しいけれど。
 だからなんだということはないのだが、香港映画にはまった歴史があると、とにかく、肉体をメインに据えたアクションには点が辛くなるということだ。こちとら、ブルース・リーにはじまって、ジャッキー・チェン、ジェット・リー、その他無数の香港アクション俳優のとんでもないアクションを嫌になるほど目にしてきているのだ。数ヶ月ジムワークに励んだだけの「白い」俳優たちが自分の努力をこれ見よがしにまくし立てたところで、ガキのころから本気で「ブルース・リー」を目指していた連中にはかなわない。
『マトリックス』を、いや『マトリックス』的なハリウッド製アクション映画を見ていつも感じることは、この巨大な制作費で香港のアクション俳優を使った映画を作ってくれたらなあ、ということに尽きる。すでに監督はジョン・ウーを筆頭にしてハリウッドに多数進出しているが、俳優でハリウッドに受け入れられているのはジャッキーとジェット・リーだけか。もちろん、周潤發はアクション俳優ではないのでこの範疇には入れないが。
 そういえば『ブレード2』という馬鹿吸血鬼映画でも、主演のウェズリー・スナイプスより、あっという間に殺される端役で出ていたドニー・イェンのアクションをもっと見たかったと思ったのだった。
 アジア人がハリウッドでは依然としてマイノリティであるなど、現実が厳しいことはよくわかっているのだが、莫大な金をかけてしょぼいアクションを描く映画、しょぼいアクションしか演じられない役者たちを目にするにつけ、これに出演しているのが香港の役者だったらなと思わずにいられない。
 これはこれで、結構悲しいものがある。

(2004年1月31日掲載)

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