■オフィシャルサイト開設にあたって
小説家が小説を書いているだけですんでいた幸福な時代は消え去った。我々は小説を書き、我々自身をプロデュースする。大量消費時代の憐れな奴隷−−それでもあくせくするしかない憐れな操り人形。小説を書く才能が摩滅すれば(そんなものがあるとして、だが)、政治屋に転身するしかないおぞましい存在。
わたしには孤高を気取る肝っ玉はない。わたしは食べていかなければならない。自分の見栄を満足させねばならない。大量に失われてしまったものの代わりに得たなにがしかの安らぎを守らねばならない。なによりも、わたしの中の悪意を、世界に対する呪詛を、物語にして吐きださねばならない。
ならば−−大量消費時代にあって、自分がただ消費される一方の存在だと自覚するならば、踊りつづけるしかない。踊り続け、自分の存在を叫び続け、消耗され、くたびれ果て、ある日突然、この世から消えていくのだ。
それもまた、わたしが選び取った世界だ。わたしはわたしの小説の中にわたしの呪詛をこめる。それ以外のこと−−すべては神の意志のまま。いうまでもないが、現代社会の神とは金のことだ。我々は等しく、金という神に帰依を誓った狂信者だ。
ここでわたしはわたしの私生活の一部を晒すだろう。それは時に滑稽であり、時に悪意に満ちたものになるだろう。時に尊大であり、時に卑屈なものになるだろう。
なるようになれ。わたしはすでに、わたし自身の時間と生活をコントロールすることもままならなくなっている。他のことがなんだというのだ。
このサイトが、わたしの呪詛をひとりでも多くの人々に届けるための窓になってくれればよいと思う。
−−GO STRAIGHT TO HELL, BOYS
The Clashの古い歌を、わたしは時々口ずさむ。わたしは安らぎを覚える。
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