ああ、ノート、一ヶ月も更新をサボってしまった。忙しい、ということもあるのだが、書くことがない。
　この一ヶ月、大笑いしたのは石原慎太郎。息子の選挙にはじまって、「中国人は無知だから喜んでるけど、あんなの、日本だってやろうと思えば明日にでもできる」とほざいて、結局、ロケット打ち上げに失敗した日本の宇宙開発能力。それからなんだっけ、「日本の自衛隊は強いんだから、テロ攻撃を受けたら相手を殲滅してやればいい」だっけか？
　老醜はおそろしいなあ。増長は物悲しいなあ。自戒を込めて書いておこう。
　その他にやっていたことといえば、仕事と、葉巻の発注か。ま、競輪もいったけれど。それと、テレビによるサッカー観戦。
　葉巻はもう、趣味のライフワークと化してきている。三十八年の人生で、それこそ無数の嗜好品を口に入れ、うまいものもあれば、まずいものもあったのだが、（上質の）葉巻ほど脳髄に直撃を食らううまさを感じたことはなかったわけだ。酒だって、そこまではまったりはしなかった。毎日飲むけれど。酒を愛しているとはっきり公言してもかまわないけれど。しかし、葉巻にはかなわない。あのうまさと、葉巻を吸っている間の酩酊感はなにものもかなわない（非合法薬物を除く）。だいたい、酒と違って酔って感覚が麻痺するということがないから（刺激が強いので味覚が多少麻痺したりはするが）、楽しもうと思えば、いつまででも楽しめることができるからなあ。葉巻の風味にもよるが、日本茶と一緒に吸ったってうまいものはうまいのだ。
　そんなこんなで、我が家では大型のクーラーボックス４つの中に、おそらく、千本前後の葉巻が眠っている。それから、スイスの葉巻屋で預かってもらっているものが四百本前後。我ながら阿呆だなあと思いつつ、しかし、まだ吸ったことのない葉巻、吸ってみたい葉巻というのは、死ぬほど存在している。どうなることやら・・・。
　チャンピオンズリーグがスカパー！に変わったせいで、わたしのテレビライフも大いに変化した。中田がベンチにいることの多いセリエＡはとっとと切り捨てたが、エスパニョーラ、プレミア、時にオランダリーグ、Ｊリーグ、これにチャンピオンズリーグ全試合が絡むと、外出する暇さえなくなってしまう。まあ、さすがに全試合を観たりはしないが。
　先日、東アジア選手権の初日に一緒に観戦した作家の野沢尚さんが「馳さん、一週間に何試合ぐらい観るの？」と問いを発し、わたしが「最低七試合」と答えたら、絶句していた。エスパニョーラが三試合、プレミア二試合、他にあれやこれと考えると、やはり最低七試合は観ている計算になる。チャンピオンズリーグがある週は十試合以上か、もしかして。しかし、本当に好きな人間はもっと観てるだろうし、最低でもそれぐらい観ておかないと、偉そうなことはいえないではないか。なにも偉そうなことをいったり書いたりするために我が身を削って観ているわけではないが。
　でまあ、その東アジア選手権、中国戦。はっきりいってがっかりですよ、幻滅ですよ。なにあの３バック。ラインの押し上げなし、両サイドハーフの攻撃参加なし、要するに５バックもしくは４ボランチ。山田なんか前半はほとんどディフェンスラインに張りついてて、なのにジーコは「あがれ」という指示ひとつ出さない。さすがに後半はなんとか形になっていたけどね。トルシエのフラット３を二十年前に戻したようなサッカー。中国の詰めが甘くなけりゃ、やられてるでしょう。久保が切れてなけりゃ、一点も取れないでしょう。
「やっぱり欧州組がいなけりゃダメだな」なんてことをわたしの周囲のあんちゃんたちが訳知り顔で語っていたけれど、連中がいるときの４バックといないときの３バック比べても意味はない。その意味のないことを、我らが代表監督はやってしまうわけだ。ま、欧州組がいたって、あの３バックじゃ大してかわらんだろうが。
　しかし、ブラジル人というのは頑固というか、なんというか。レギュラーメンバー以外、視界に入っていないのな。ファルカンの時もそうだった。サブはただそこにいるだけ。人数合わせ。チームが機能してなくても、コンディションがよくない選手がいても、よほどのことがない限り、サブの選手を使って試すということをしない。欧州組がいなくても４バックで他になにができるのか試してみろよ。三浦敦使ってみろよ。大久保なんかいらないから、１トップにして中盤の構成変えてみろよ、そうしたら小笠原だってもっとまともな仕事できるだろうよ。
　というようなことを叫んでも、おそらくあの人には通じないので（監督なんてのはそんなものだが）、だらけながらスタンドで観ているしかない。それにしても、代表の試合でスタンドに空きがあるの、久々に観たな。チケット販売の方法がいつもと違うってこともあるんだろうが、しかし、欧州組が来ないなら観ないってやつらが多いのかね。どうにもならんね。ま、いい。２００６年ワールドカップ出場を逃すという苦い薬飲まなきゃ、この国のサッカーはなにも変わらないだろう。
　しかし、バルサのクラシコでの負けはあまりにも悲しい。ほとんど、監督ひとりの責任だからだ。前半、守備を固める？　阿呆。果敢に攻めてこそのバルサだろう、クラシコだろう。後半のサッカーをやってりゃ、それこそ１−４で負けたかもしれんが、このやりきれなさはなかったはずだ。
　頼むよ、もう。しかし、寝不足で頭ぼうっとしていて小説書けそうにもないからこのノートを書いてるわけで、そういう意味ではありがたいか。いや、別にありがたくはないな。なんだか文章がハイテンションなのは、寝不足のせいです。
　というわけで、スケジュールを鑑みるに、今月、これ以上の更新は不可能。よいお年を。

（2003年12月9日掲載）