「変な夢」
タイトル通り、変な夢を見た。普段は夢を見ていたとしても、目覚めた途端に忘れ去り、歯牙にもかけないわたしだが、今日の夢は妙にリアルに覚えている。
京極夏彦と宮部みゆきが結婚する。もうこの時点でろくでもない夢なのだが、わたしはふたりの新居に招かれる。これまた夢の滅茶苦茶さで、ふたりの新居は北海道のわたしの生まれた町に建てられる。これがまた、京極夏彦らしく和風の渋い一軒家だったりして、なおかつわたしの記憶にいまだに鮮明に残っている祖父が住んでいた小さな山の麓、樹木繁る森の傍らに建っているのだ。
訪れてすぐ、わたしはその渋い和風建築の家に一目惚れする。その家が欲しくて欲しくてしかたがなくなってしまう。京極夏彦と宮部みゆきに愛想を振りまきながら、どうやってこの家を手に入れようかと考えている。このあたり、なんだか火曜サスペンス風だったのも笑えるが。
一度帰宅し(北海道から東京にあっという間に帰宅するのも夢だよなあ)、連れあいにふたりの家がどんなに素敵だったかとしゃべくりたおし、そのまま連れあいをふたりの家にまた連れていくのだ。
京極夏彦と宮部みゆきは困惑する。さっき帰ったばかりのわたしが、すぐに連れあいを連れて戻ってきたのだから、当然の話だ。「いやいや、どうもどうも、あんまり素敵な家だからどうしても女房に見せてやりたくって」などといいながら、わたしはその家に居座ってしまう。
人のいい京極夏彦と宮部みゆきは困惑しながらも、笑顔でわたしたちを歓待する。着流しに真っ白なエプロンをつけた京極夏彦が厨房に立ち(手袋つき)、宮部みゆきはプレステ2の新作ゲームをわたしに披露する。
わたしはふたりの隙を見ては連れあいに「なあ、この家いいだろう。住みたいだろう。なんとかして手に入れたいだろう」と囁き続ける。
京極夏彦手作りの料理を頬ばりながら、しかし、わたしの家に対する執着は強まっていくばかりで、やがては居ても立ってもいられなくなる。
「決めた。どんなことをしてでもこの家を手に入れてやる」
わたしは宣言する。が、連れあいがわたしにこう反論するのだ。
「だって、ふたりともいい人たちなのに悪いじゃない。帰りましょう」
「それもそうだな」
とわたしは答える。いかんともしがたかったふたりへの新居への欲望はあっさりと消え失せ、またもふたりに愛想を振りまいて、辞去する。
ここで、目覚めた。
これはなんだ? 嫉妬か妬みか。それとも隠された別の欲望の噴出か。きちんと葉巻を保管できる専用部屋が欲しくて、家を建てるのも悪くはないか、いらなくなったら売ればいいんだし、と思い始めている矢先だから、家に執着するのはよくわかるのだが。
しかし、京極夏彦のエプロン姿はお茶目だったなあ。リアルな夢を見た後は、なんだかぐったりします。みんな、よく平気でいられるものだ。
(2003年10月20日掲載)
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