Hase's Note...


┏-┓
-

「いろいろある」

 フジテレビの『すぽると』という番組に出演した。で、ウェブマスターに叱られた。
「なんでインフォメーション用に情報流さないんだ!?」
 いや、あのですね、ぼけておったんです。生放送であると聞いていたにも関らず、当日、スタッフにオンエアの日時を聞いて、それをウェブマスターに教えればいいやなどと、まったく意味不明のことを考えておったです。生放送だっちゅうに。ぼけているのです。疲れているのです。
 疲れているといえば、香港から帰国した直後、どっと疲れたことがある。編集者からFAXが届いていた。ある週刊誌に掲載された『ダーク・ムーン』の書評だ。
 書評子は茶木則雄。カンヅメ中でFAXが手元にないので、正確な引用はできないのだが……要するに、わたしはJエルロイに心酔していて、デビュー作の『不夜城』ですでに、極端に切り詰めた文体、ダッシュを多用した文体で、うんたらかんたら。
 わたしの読者ならよく知っていると思うが、『不夜城』はアンドリュー・ヴァクスという作家への不満から書きはじめた小説だ。文体もわたしの作品の中では『不夜城』だけが違う。わたしがエルロイの文体を意識して書きはじめたのは『鎮魂歌』からだ。ちょいと調べればすぐにわかることだ。『不夜城』を手にとってぱらぱらと眺めるだけでも、ダッシュが多用された文体でないことは一目瞭然のはずだ。金取って原稿書いてるくせに、それもしないとはなぁ……。
 茶木さんはどうやら『ダーク・ムーン』を誉めてくれているらしいが、最後まで読むのが馬鹿らしくなってやめた。本当に疲れる。
 十八年来の友人でもある書評家の吉野仁が自分のサイト(http://homepage2.nifty.com/yoshinojin/)で、作家による書評家への攻撃、あるいは誹謗中傷に対して怒りをあらわにし、吉野仁の意見にわたしもおおむね同調するものの、茶木さんの仕事ぶりを眼前につきつけられると、これじゃ作家は書評家を信用できないよなぁと思ってしまう。わたしは、かつて同業者だったこともあって、書評家同士が緩やかな関係しか持っていないことを知ってはいるが、そうでない人たちは、おまえら仲間同士だろう、ひとりがろくでもないことをやってるんなら他の人間も同じだろう、と考えてもいたしかたないかもしれん。小説を書く者として、あまりにも想像力が貧困だとは思うが。(あと吉野仁が理解していないかなと思うのが、作家はエゴの塊であるということ。どちらかというと精神的に異常である人間が多いということ。わたしを含めて。そういう人たちに正論を説いても無駄だ)
 だれか、茶木則雄になにかいってやれよ。文化人面してどこぞの麻雀大会でへらへらしてる場合じゃないだろうって。花村萬月がらみでもどでかいヘマをしでかしてるだろうよって。仕事をきちんとしろって。
 まあ、この場合、茶木さんはもとより、編集者にも問題があるわな。書評のページを担当しておきながら、『不夜城』読んでないわけだ。読んでいたとしても、茶木さんの間違った原稿になんら文句をいわなかったわけだ。ちゃんと仕事しましょうね、と怒らなかったわけだ。どうしようもないわな。
 中田英寿に対するメディアの対応も疲れる。問題は中田ではなくてパルマというチームにあるというのは自明なのに、やれ不調だ、やれ失格だと喚きたてる。いい加減にせいよ、おまえら。イタリア戦見てりゃわかるだろう。日本の選手で唯一、イタリア相手にボール捌けてるのヒデだけだったじゃねえか。
 本当にもう、疲れる。毎日、疲れる。疲れてるから、短いけど、今回はこれでおしまい。

(2001年11月27日掲載)

-
┗-┛


[← 前号ヘ] [次号ヘ →]



[TOP] [ABOUT SITE] [INFORMATION] [HASE'S NOTE] [WORKS] [LIST] [MAIL] [NAME] [SPECIAL]

(C) Copyright 2001 Hase-seisyu.Com All Rights Reserved.