「国辱」
オーストラリアには、なんとか勝てた。しかし、ストレスの溜まる試合だった。豪雨の中、オーストラリアは中盤で簡単にボールをまわす。対する日本は最終ラインが引きすぎて、中盤に人がいない。あれでよく勝てたものだ。ヒデがいなかったら終わっている。
スタディアムも最悪。本来なら特等席であるはずのメインスタンド、バックスタンドの最前列に屋根がかかっていない。わたしはギリギリ、雨の被害の及ばない席だったので座って試合を見ていられたが、いったいぜんたい、どこのだれがあんなわけのわからないスタディアムを設計したのだろう。ピッチの状態は素晴らしいが、客のことをなにも考えていない。あんなスタディアムでW杯の決勝を行なうなんて、それこそ国辱ものだ。
国辱といえば、嫌な話を耳にしてしまった。
日本対カメルーン戦のあと、新潟のホテルのバーでトルシエとベンゲル、それにカメルーンの監督が酒を飲んでいたそうだ。そこに、泥酔した日本サッカー協会の某幹部があらわれた。彼は、カメルーンの監督にこういったそうだ。
「あなたのおかげで日本は決勝トーナメントに出場することができた。あなたのおかげでトルシエの首が繋がった。ありがとう」
破れた人間に向かって、なんという言い草だろう。ほんのわずかでも常識があれば、そんなことは口にできない。だが、彼はそれを口にしただけではない。カメルーンの監督に向かって、土下座までしたらしい。「ありがとう、ありがとう」と連呼しながら。
開いた口が塞がらない。この幹部は、「たかが」コンフェデ杯で日本が準決勝進出を決めただけで感激し、浴びるほど酒を飲み、正体を失って、カメルーンの監督に無礼を働いた。
こんな人間たちが日本のサッカーを牛耳っている。これこそまさに、国辱だ。この泥酔した幹部には、国際常識のかけらもないのだ。
その幹部は、トルシエにもこういったそうだ。
「おれが馘になっても、トルシエ、おまえは2002年まで監督をやってもらうからな。おれが保証するからな」
無礼な酔っ払いにそんなことを保証されても、トルシエだっていい迷惑だろう。だいたい、なんの権限があって、日本代表監督の座をあれこれできるというのだろうか。思いあがりも甚だしい。
こんな連中が得意顔でスタディアムの貴賓席に座っている。選手が可哀想だ。サポーターが可哀想だ。
どこぞの週刊誌で、この醜態を書かないものか。若い選手たちの女遊びを追っかけているよりよっぽどスキャンダラスだろう。わたしの耳にすら入ってくるほどだから、裏も簡単に取れるだろうと思う。書いてくれ。日本サッカー協会の非常識さを世間に訴えてくれ。
ああ、あんまり頭にきたので、ここに書くことにしてしまった。ここで公表することにしてしまった。日本サッカー協会はクズの集まりか? 本当はその馬鹿野郎幹部の実名も書きたいぐらいだ。
(2001年06月08日掲載)
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