「当選者」
まったりしている。ぐったりしている。もうお腹一杯、サッカーはしばらくいいや、と思っていても、おそらくは、あと一月もすればまたぞろ悪い虫が目をさます。
いつだってそうだ。この文章を書きながら、しかし、次はポルトガルのEUROだなあ、その前に、当然チャンピオンズリーグも見に行くし、働かなきゃなあ、金貯めなきゃなあ、2006年のドイツ大会は、おそらく食事的にとても悲しいワールドカップになるだろうけど、ポルトガルは期待大だからなあ、行かないわけにはいかないよなあ、などととぼけたことを考えている。
要するに、やめられないのだ。中毒しているのだ。シーズン中にヨーロッパに行けば、毎水曜と毎週末がワールドカップだ。いや、スタンドに限っては、ワールドカップより凄い。それが、チャンピオンズリーグの試合となれば、なおさらだ。それが、チャンピオンズリーグの決勝なら、スタディアムの周囲はとんでもないことになる。ワールドカップも開催国が決勝に進めば、フランスのようにとんでもないことになるのだが、それ以外は、スタンド自体はたいしたことにならない。ロッテルダムで行われたUEFA杯の決勝は幻想的だった。試合前とフェイエノールトがゴールを決めるたびに、何本もの赤い発煙筒が焚かれた。本当に綺麗で、心がざわめいた。肌が粟立った。ヨーロッパでは、ワールドカップも色褪せるようなお祭りが、毎年繰り返されている。
行くたびに、自分がヨーロッパ人ではないことが悔やまれ、日本で、アジアでこうした体験ができるようになるころにはおれは死んでるんだろうなと歯噛みし、それでまた次も来ようと思う。年を取って引退したら、ヨーロッパの大都市の郊外にでも移り住んで、地元のクラブのソシオになろうと思う。そうすれば、わたしはもう「お客さん」ではなくなる。
四年に一度なんて、とてもじゃないが待っちゃいれない。
さて、それはそうとして、W杯優勝チーム予想だが、当然のごとく、的中者はいない。予選ラウンドが終わった時点で、応募者の7割が脱落したのだから当然か。まあ、決勝戦のあの組み合わせを開幕前に予想していた人間なんて、世界中を探したってほんの一握りしかいないだろう。いたしかたない。
が、当選者なしというのも寂しいので、ブラジルが優勝すると予想したふたり−−応募総数102のうちのたったふたり!!−−岐阜県の西原卓志さんと愛知県の小松大輔さんにわたしの『欧州征服紀行』をサイン入りで進呈する。うれしかないだろうが、近日中に送るので、受け取ってください。
それから、200000ヒット記念でなにかプレゼントしようと、W杯がはじまる前にちらっと考えてはいたのだが、W杯期間中に当ウェブの閲覧者数が急増、もう250000越えてるけんね、どうにもならんね。ウェブのヒット数増やしたいんなら、トルシエの悪口書くことだね。やれやれ。
特に宣伝してるわけでもなく、掲示板があるわけでもなく、メールに返事を書くわけでもない、インターネットの双方向性をまったく無視した完全一方通行のウェブに、これだけの人が来るってのも凄いわな、しかし。
おれ、なんかまずいことしました?−−というのは、フジテレビのスタジオ脇で稲本に会ったときにだれかが発した、なぜトルコ戦で代えられたのか、という質問への稲本の答えだったのだが(当然、彼にも理由がわからないのだ)、わたしも今、おれなにかまずいことしてるのかな、という気がしないでもない。
トルシエへの誹謗中傷を書く前から、一日1000ヒット越えるようになったとウェブマスターに聞かされていた。それだけ期待されると、単純な人間だから、やめたくてもやめられなくなっちまうのだよ。
ワールドカップ期間中の一ヶ月、本業の小説をほとんど書いていなかったので、これからはとんでもないスケジュールになってしまう。ま、時間見つけてぽろぽろ書くから、気長に更新を待っていてやってください。
(2002年7月5日掲載)
|