「どうでもいいこと」
最近は、稲本がいるせいで、フラム(フルハムと表記するところも多いが、発音に近いのはやっぱ、フラム、だ)の試合をよく見る。
フラムの選手に、ボア・モルテというポルトガル人選手がいるんだが、なぜか、スカパーのアナウンサーは「ボア・モルチ」と発音する。
語尾のTEを「チ」と発音するのはブラジル・ポルトガル語であって、本国ポルトガルでは「テ」と発音するはずなのだ。
ボア・モルテ??ボア・モルチ。
なんなんだ、これはいったいよ、ボア・モルテはブラジルから帰化したポルトガル人ってことなのか?
どうでもいいことなのだが、わたしの頭は混乱する。
リュングベリなのかリュンベリなのか、スールシャールなのかソールシャールなのか。イングランドのアナウンサーの発音を聞いていると、ソールシャールが近いんだが、やつらノルウェイ人じゃねえしなぁ。
どうでもいいことなのだが、気になってくるとどうにもとまらないのである。
たとえばリーガ・エスパニョーラを見ていて、わたしの連れ合いが「どうしてセルジなの? スペイン語だとセルヒでしょ?」などというと、「あのね、セルジはカタラン人なの。スペイン語じゃセルヒだけど、カタラン語じゃセルジなのよ」などと明快に答えることができるのだがなあ。
香港に張學友という大物歌手がいる(歌はマジでうまい)。彼はデビューしたての頃、あのジャッキー・チェンに顔が似ているということで、ジャッキーと呼ばれた。日本での呼び方はジャッキー・チョン。ところがこれまた香港の大物俳優兼歌手に張國榮というとっちゃん坊やがいる。彼の日本での呼ばれ方はレスリー・チャンだ。同じ張姓、同じ香港人なのに、かたや「チョン」でかたや「チャン」なのはなぜなのか。香港芸能界にはまった当初は真剣に頭をひねった。まあ、チョンは広東語読みでチャンは北京語読みだってことなのだが、ジャッキーは広東語読みでレスリーは北京語読みと、いったいどこのだれが決めたんだよ......これまた、どうでもいい話ではある。
香港といえば、九龍という地区がある。広東語では「ガウロン」と発音し、北京語では「ジウロン」と発音する。英語では「カウルーン」だ。なのに、日本では「クーロン」という呼び方が長いこと使われていた。クーロン? いったいどこのだれが、こんなでたらめな呼び方をつけたのか、決めたのか。ロンが龍の中国語音であることはわかるが、クーってなによ?
北京もそうだ。北京語では「ベイジン」。広東語では「パッキン」。ペキン? ぺってなによ、ペって? いったいどこのだれが、「ベイジン」を「ペキン」なんていいはじめたのよ?
アメリカにはコネティカットという州があるが、アメリカ人に「コネティカット」といっても、ほとんど通じない。連中は「カネティカッ」と発音するのだ。「コネティカット」という発音が通じないことに困惑しながら、わたしはいったいどこのだれが「カネティカッ」を「コネティカット」などと表記するように決めたのだろうと頭を悩ませていた。
本当に、本当にどうでもいいことなんだが、気になると眠れなくなるのである、わたしは。
じじいばばあが、最近の若いもんの日本語の乱れが嘆かわしいなどとわかったようなことをいうが、そんなことより、外来語の表記はなんとかならんのか??まあ、とにかく、今回は本当にどうでもいい話でした。
犬は病気になるわ、パソコンはクラッシュするわで、厄年でもないのに思いっきりめげておる、ここ数日の馳です。
本当に申し訳ないんだが、ウェブマスターのパソコンもつい最近クラッシュしたばかりで、NAME BANK関連のデータも、この世から完全に消滅してしまった。面倒だろうけれど、それでもわたしの小説に名前を使ってもらいたいという奇特な方は、もう一度登録してくださいね。
(2002年11月3日掲載)
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